'Scented rose' Aizu Hanabatake Distiller 'Scented rose' Aizu Hanabatake Distiller

ダマスク5種とハイドロ蒸留

‹ 2015/05/26 ›

ダマスクも昨年から追加で育てている他4種も咲き始じまりましたので、特徴を紹介。

咲き初めはピンクがかり、花の外側がより濃いピンクで縁どられている白花はレダ(蕾は赤)。カザンリクよりもしっかりとしたピンクの花色はキャトルセゾン(蕾ピンク)。中心にグリーンアイが見える白花のマダムアルディ(蕾白)。この4種では一番開化花が多く映ったやや薄目のピンクがイスパハン。(蕾ピンク)

今年は、生育年数が大きく影響してそうですが、今現在のダマスク比較をメモ。

【香りの濃さで比べた強さ関係】

キャトルセゾン、カザンリク(強香) > マダムアルディ(強中香) > レダ、イスパハン(中香)

【花の大きさで比べた関係】

  • キャトルセゾンは、カザンリクより少々大きい
  • レダ、イスパハン、マダムアルディは、カザンリクより一回り小さい
【花の咲き様】
  • キャトルセゾン、カザンリク:一般的な八重様
  • イスパハン:八重様、開化直前はモダンローズぽいが、咲くとロゼット様にも
  • レダ:ロゼット様
  • マダムアルディ:クォーターロゼット様

【花弁数】

  • キャトルセゾン、イスパハンは、やや多いか同じ程度
  • レダ、マダムアルディはカザンリクより多い

【見た目】

マダムアルディは、整った円形を保ちクォーターロゼット咲きでグリーンアイがしっかり見えますし、この中ではもっとも優雅に見えます。レダの赤めのピンクの縁取りもよいのですが、私的には若干不格好になるカザンリクの花形が好きですので、この4種では、キャトルセゾンもなかなかよく見えます。

ちょっと評価し難いのがイスパハンで、香りもダマスク系では少なく、見栄えもさほどぱっとしない印象です。

【特性と生産性】

ダマスク香を得るための生産性となりますと、芳香力から言っても花つき具合からいってもカザンリクと思ってましたが、キャトルセゾンの樹勢と芳香力も生産性に問題ないと思われましたので、こちらも生産目的で増やそうと思います。なんといっても返り咲きますので、オフシーズンの秋生産、秋試験が可能になるのも都合がよいです。

他も一定量の確保はしたいので、増やそうとは思いますが、生産性と品質が見合わないだろうと予測してます。この中でも自然環境下で開化時期がカザンリクとずれるものがあれば、利用価値が上がるのですが、この4種はいずれもほぼ重複した開花期間となるようです。

【蒸留サンプルのほうへ】

さて、本日は、新しくイベント兼ちょっとだけ蒸留用に新調した2.5L銅製蒸留器で、カザンリク花の蒸留サンプルを実施。

イベント用途に絞っての導入のため、以下を重視し、本日は、その成果をはかります。

  • 組立・清掃が簡単である
  • ガス・電気など導線の必要な熱源をなるべく利用しない
  • 組立、蒸留から試飲・試用までの時間が短期間である(10名程度まで)
  • 場所を選ばない
  • ハイドロ蒸留、スチーム蒸留の兼用が可能

アロマ教室なんかでも多く利用する常圧(環境気圧)型の蒸留器では、構造が簡素なハイドロ蒸留特化タイプとカラム式スチーム(水蒸気)蒸留タイプ、またはその兼用があります。

ハイドロ蒸留器のほうがコンパクトにまとまりますが、バラもハーブもと考えると、スチーム蒸留もしたいとなります。カラムは長いほうが原料をより水蒸気熱にさらすことができますが、長い分、組立・配置に手間が増えますので、出来ればあまりカラムカラムしてない中世風の蒸留器形状が良いなと思い、あれこれ調べ、こんな都合で、新たに「アルコールアンプ付2.5L銅製蒸留器」を導入したのです。

さて、購入前に原料の投入ボリュームと蒸留量は予測できますが、大事な有効蒸留時間、蒸留立ち上がり時間、蒸留速度は、使ってみないとわかりません。

そこで、本日は収穫日ではないため、代わりにカザンリクを一部採取し、実験をしてみました。写真を見てわかる通り、この蒸留器は釜の上半分がカラム用途になってますので、原料は釜鍋の上までコンモリ溢れさせるほどに投入できます。

結果は、以下の通り。

  • 環境温度24度程度、蒸留用水2L、カザンリク花数30,40個
  • 立ち上がり時間、約40分
  • 蒸留有効時間:概ね2時間程度
  • 蒸留量:500ml~600ml
  • 各者30~40ml程度の試供としますと10名強はもてなし可能

本来、ハイドロ蒸留で水量2Lあれば、半分の1Lくらいは取れるのですが、今回の装置ですと、アルコールランプのキャパシティで1回2時間程度の蒸留時間が安全圏内でした。

この後は、燃料切れしますので、継続的に蒸留するなら燃料追加となりますが、チンチンにできあがった装置に少量でも燃料を投入というのは、あまり良い作業と思えませんので、この範囲で利用しようと思います。

私的な評価は、総合的にとても良い商品と思いました。なんといっても即戦力があって、手短に実習できるという点で申し分ない印象です。立ち上がり40分、持続2時間までというのも、バラの見学やお話をして楽しんでいる間に試供して、作業を終えることができるということは、もてなすほうにも来訪者にもお互いにストレスのない時間を過ごせると思います。

イベントやハーブ類のスチーム蒸留サンプルに結構役立つ予感。