'Scented rose' Aizu Hanabatake Distiller 'Scented rose' Aizu Hanabatake Distiller

バラ園の楽しみ方と挿し木苗作り

‹ 2016/01/12 ›

今日は随分寒くなりました。が、例年通りの寒さになってきたところです。未だ積雪0cmです><

【バラ園の楽しみ方】

さて、施設のお話の前に、ここに来ればどんな感動や楽しみ、モテナシがありますか?といったことがまず気になるかと思いますので、その説明をします。

1.香を楽しむ

ここで抱えているバラは、9割以上がダマスク種です。「香りのバラ園」と称するバラ園は、日本国内で少なくとも数か所以上はあります。

しかし本当にバラ園にいってバラの香りを楽しめたと思えるでしょうか?近代からバラは、その美しさもあって、姿形や咲様を改良し、より鑑賞性の高いものに価値が見いだされてきましたから、どうしてもそのようなバラを商品や現場に持ち込む必要性がありました。

従って、バラ園でも香を楽しめるような構図とすることよりも、鑑賞性が価値に代わるわけですから、まだまだ香りを大胆に楽しめる環境では、ありませんね。

このバラ園は、香りを堪能するためのみに準備していますから、その圧倒的な香り感を花々に近づかなくても、「空間全体、全身でバラの香りを感じる」ことができます。

例えば、ダマスクコーナーの1,2m離れた風下に居ますと、そよ風がなびくだけで、香りが全身になだれ込んでくるのがわかる贅沢な香浴空間に出会えます。

2.花冠が摘める

まだまだ、事業的に未成熟ですから、そのほとんどのダマスク花冠が余剰になります。したがって、とても贅沢な空間で、花冠摘みを存分に楽しむことができます。

残念なことにダマスクバラは、鑑賞種と違って、花持ちは非常に悪いので、花き・生け花にはまず利用できません。でもダマスク生花の利用作法がわかる方には、自分で摘んだダマスク生花は、必ず生活空間の中で活用頂けるものだと思います。

3.勝手加工できる

ご自身の試作・創作や持って帰るためなど、ちょいと加工したいこともあるかもしれません。ご家庭用、小規模用の蒸留器数種や作業場、包装機材、事務用品など、試、プレゼン用に準備しているものがありますので、勝手利用もできます。

今のところ明確に事業化されてないというところを最大限メリットにして、今のうちに楽しめることがもっとあるのかもしれません。

4.占有ができる!?

投資というほどのものではないですが、作付樹や指定品種の花冠を占有してもらう形で、投資いただくこともありです、なにせ、今現在は出荷先がないですから。

香や性能を体感してもらうとわかるかと思いますが、同じダマスクでも結構な性能差と好みというものがでてくると思います。見た目の可愛らしさも違いますし。

そういった点からしますと、一定量を指定の品種や指定の苗で!みたいなことをされたい要望にも今なら答えることができます。

(作業と質の両面をうまく両立できるのは、やっぱりカザンリクかローズ・ド・メイに限る感じですが、ご自分の好みも踏まえると、それだけではないものがあります。)

また、本当に旬なのはいつまでなの!?っていう気になることも、キャトルセゾンを使えば春・秋収穫をある程度確保できますので、旬を分けることもできます。私的には、香性能は、カザンリクよりキャトルセゾンのほうが高いと思いますし、秋花はまた少しことなりますが、それがまたよいのかもしれませんね。

5.苗を分けてもらえる

ここでは、今のところ接ぎ木はしていません。すべて挿し木です。つまりつま先から頭のてっぺんまですべてその品種の本来の性能となります。

挿し木は、苗業からしますとほぼ1年余計にかかりますから、商業生産性は悪いですし、国内気候に合う品種でなければ、売物的にも成功は見出せません。

ダマスク種といえば、結構な耐寒性(耐暑性はそこそこで夏バテしますが)がありますので、ここでは、挿し木苗での生育で別段問題がありません。そして、実根ですから、接ぎ木特有の懸念事項も発生しにくいと思います。

野生種に近いシュラブですから、相当暴れますが、鉢植えや取り巻きなど行えば、手狭な空間でも豪華な花を楽しむことができると思います。

苗や花冠などの提供をさすがに無料・取り放題とはいきませんが、ご要望があればお分けすることができます。商業的には手に入れにくい手作り苗でもありますから、面白いかもしれません。

6.案内人が私

ここは、完全なデメリット(残念)なのですが、それでも良い場合は、お話しながらご案内いたします。ダマスク香の香りにどれだけの心身価値があるかとか、まったくもって理解できておりません。山野草が大好きですので、山菜取りキノコ採り、山の実摘みなど、その味わいや四季の楽しみ方なんかは、大好きなんですが。。。その食利用とか香云々は、自己流・見習いです。

来春のバラ園オープンは、私次第ですので、もちろん勝手気ままにです。

*バラ園やそのほかエリアは私設ですから、見学・体感、体験のご要望があれば、メールやお電話、または、「こちら」にお願いします。

【施設の紹介】

栽培施設

では、施設ですが、土地・建物のオーナーはものによって異なりますが、ここのダマスクの事業(未だ投資中)に関する施設は大きく6つあります。

このうち、栽培に関するものがハウス2棟と露地のバラ園です。ハウスのほうは各50mありますので、完全に事業向きのサイズになってます。

バラ園のほうは、山野草栽培も兼ねたミニサイズのバラ園です。

事務施設

また、事務所には、乾燥パーティションがあったり、資材置き場を兼ねた倉庫機能がありますが、そもそも倉庫ですので、事務所という呼び名が相応しいかは不明です。今のところ、「事務」機能のほか、「思考・創作」の場となっています。

作業場・倉庫

「作業場・倉庫」という建屋がありますが、こちらは、準備計画中でしたので、今は存在すらしてません。

ダマスクバラから得られる成果物というと、最初に「花冠」となります。また、2次成果物として「蒸留水」となります。最低限、この「1次・2次成果物」を準備するために、この「作業場・倉庫」を用意したいと思ってます。

育苗施設

こちらは、10mにも満たない小さなハウスで、主にハーブなんかの自家栽培用に用意したものです。ここの隙間にダマスクたちの「休眠挿し木」用の棚を用意して、冬・春先まで育苗を行っています。

実家目前の畑にありますので、目が届きやすいため、1品もののバラの保管もここでしています。

ミニバラ園

ダマスクハウスのほうは品種を限定し、栽培量を確保した環境にしていますが、バラ園のほうは、ちょっとニュアンスが異なります。

目的は、多様なバラの鑑賞・評価と交配、選抜用途にしようと思っています。現時点では、山野草なんかもおいて、愛でる場所にしています。

では、少し説明をしてみます。

最上段、こちらは、入り口方向から見ると最奥になります。ここには、主に代表的なダマスク種を並べています。ダマスクバラも種類によって、香だけでなく、樹形や棘量など微妙に異なりますので、栽培の向き不向きを判定する基準値判断ができるようになるべく、代表的なものを並べています。

2,3段、こちらは、その中でも現在、メインの栽培品種にとらえているカザンリク、キャトルセゾン、ローズ・ド・メイで構成しています。この段は、商業品種の維持を主目的にしています。

4,5段は、ダマスクとは少しばかり離れますが、オールド4種をエリア分けして並べています。私感ですが、花冠香の性能的にはダマスクよりもロサ・ケンティフォリアのほうが上だと思ってます。

(ロサ・ケンティフォリアとダマスクの香評価ってどんなものなのでしょうか。私は、優しくかつ大人げなしに香るのがケンティフォリアで、より複雑で奥深さがあるのがダマスクという風に体感しています。そして、ダマスクは強い存在感のある香りで深層まで感じないとその良さが理解できないように感じてまして、ほわわーんと嗅ぐにはケンティフォリアのほうが良いのかな?なんて思ってます。)

1~5段までは、ほぼ同時期の開花になりますから、花の咲き姿や香の具合など、この段を歩いてもらえば、自分に合う花を探したり、香の鑑賞・評価ができるかと思います。

6段、ここは原種や代表的な香の元種を準備中の園芸ゾーンです。このゾーン、バラこそまだまだ隙だらけなのですが、代わりに山野草とハーブを植えてますので、食材や生け花に利用したりと、実は最も活躍しているところでもあります。

ミルラ香のエリアに、ミルラ香の源に近い品種と言われているベル・イシス(ガリカより)とベル・アムール(アルバより)を置いています。どちらもオールドローズの範疇のようですが、古典的な時代から存在しているものではなく、過去150年の範囲内程度で作出者(発見者)がわかっているもののようです。

どちらも昨春1年生で香を楽しめるほど咲いておりませんから、来春がとても楽しみです。

導入口、こちらは、一休みしたり遠目にバラ園を眺めたりする団欒空間です。作業的には、このエリアに資材を運んだりして、利用する空間となります。

手作りパーゴラには、私的に最も見たいバラである「ポールズ・ヒマラヤン・ムスク」と木香なんかを這わせています。

【挿し木苗作り】

本来ですと、この時期は積雪も数十センチはありますので、バラ作業はまずやりません。今年はあまりの温暖続きでしたので、この時期ちまちまと作業をしています。

これは私流の積雪のある極寒地域で作業効率的に良いと思っている手法です。発砲箱に水を溜め、育苗ポットに鹿沼土を詰めて5本挿し、1箱110本の苗を用意していきます。

本年、ここまでで、カザンリク1200本程度ですが、あと200本ほど、別品種用に追加予定です。

この水量ですと基本的に冬季間は凍ってますが、問題ありません。むしろ凍ってる期間は、挿し木もせずに雪の中に埋めておくのもありなのかもしれません。