'Scented rose' Aizu Hanabatake Distiller 'Scented rose' Aizu Hanabatake Distiller

休眠枝の挿し木苗(ダマスクほか)の鉢揚げ

‹ 2015/05/12 ›

【休眠枝の挿し木】

冬剪定した休眠枝の挿し木苗を鉢揚げします。この地方だと冬は積雪が相当量ありますので、実際は降雪前の時期に、秋剪定をしています。

(この地域は秋がとても短く、晩秋早々に降雪します。初回の降雪でも除雪が必要な積雪に繋がることが多いので、すぐさま冬作業になってしまう事情より)

挿し木の冬季間育成は、鮭一匹が入りそうなプール(発砲スチロール箱)に、鹿沼土とミリオン少量で作ったポットに5本ずつさし、プールに挿し木したポットを詰め入れ、深さ3cm程度の水を張って、水切れしないようにハウスで管理したものです。

品種によっては栄養の少ない土で挿し木したり、緑枝の場合は水差しでも発根しますが、どうしてもカザンリクは発根までに時間を要するため、土と水耕の半々をうまく利用した発根方法にしてます。

カザンリク対策の発根要件としては、以下を条件に。

  • 栄養分が少なく酸性を維持できる土壌環境をポットなりで用意
    (鹿沼土の細粒とミリオン少々、酸性度は通常のバラ苗の酸性度以上に傾いていてもよいと思われる)
  • 挿し木育成中の土壌は枝がぐらつかない、枝に触らない、枝を動かさない
  • 多めの水張りで水量・水質・水温を長めに一定的に維持できる環境(プール)を用意
  • 冬季間中は休眠から目覚めない程度の低温環境を維持
    (霜や霜柱の発生、表層凍結くらいは、さほど影響がないため、温室は使わないで冬越し)
    (当地の冬期間は、10℃からマイナス15℃程度の環境温度)
  • 休眠枝なので、高湿度の維持は不要(極度の低湿度はだめかも)
  • 発根鉢揚げ前までは、長時間の直射日光はなるべく避ける
    (この地域は、冬季はほぼ太陽がでてこないので、冬季間の遮光は不要だが冬明けは必要、春中盤以降は逆に日光がある程度必要)

【鉢揚げの条件】

  • 春の梅雨前
  • 朝早く若しくは夕方か、曇りの日
  • 挿し木ポットを水揚げし、底から根が見えているもの(成るべくは側根が発生していると判断できるもの)
  • 濃い緑の新葉が出始まっているもの
  • 一度、挿し木ポットから枝を取り出し、発根未成熟なものは捨てる(二度挿しで良いことはないので)
  • さらに、明らかに枝が枯れたか、黄色になって成長しそうもないものは、撤去できれば同時にする

【挿し木苗の鉢揚げ】

今日5月10日の段階で、いくつか挿し木苗の確認をしたところ、樹勢のよいロサ・湖南とキャトルセゾンは、概ね鉢揚げできそうな状況でした。また、カザンリクは、個体差はありましたが、あと数日後のほうがよさそうでした。

ポットの底からにょきにょきと根っこがでているポットがいくつかありましたので、このポット苗は、水揚げして新しい土壌ポットに1本づつ植え替えます。

最初の土壌生活となるので、専用に準備した負担の軽めな土を使います。

【新しいポットの土】

  • 赤玉(小):鹿沼土(小)・・7:3
  • 軽めの油粕(自分製)・・・大さじ2
  • ミリオン・・・・・・・・・・・・・・大さじ1
【利用道具】

  • 水道水とジョウロ的な先
  • 新しい土とポット(挿し木ポット1つに5苗あり、これを1鉢づつに分けます。)
  • マジックと名札(十分幼い苗なので、整理してかないと品種が不明になります。)
  • 発泡スチロール箱(鹿沼土の退避用)

挿し木育成用に使った鹿沼土(細粒)は、別の発泡スチロール箱に開けて、しばらく天日干しをします。具合が良ければ、これを今冬に再利用します。

水耕で育った挿し木苗の根っこは、土壌育ちと違って柔軟性に乏しく、側根が少なく主根も充実してませんので、鹿沼土からの引き上げ、新たなポット植えには、十分な優しさが必要ですが、1~2割程度は、根が取れてしまいます。

(ポットからはみ出した写真の根はロサ・湖南ですが、カザンリクはこんな風にしっかりとした毛細は出ないです。主根要素の硬めで壊れやすい根がある程度の側根も持ってる程度で伸びてきます。)

鉢揚げが終わったら、半日蔭の場所にしばらく養生します。

【挿し木枝のその後】

  • 発根した根が土に活着するまでは、挿し木枝を育成
  • 活着の見極めは、新芽が濃い緑で成長し始めるか、側根が毛細化し根張りが進むかを見る
    (根張りがしっかりしてくると、根の毛細が網状に広がり柔軟性がでてきます)
  • 活着したら生育に努め、シュートの発生を促す
    (梅雨前まで土壌ポットで育成し、梅雨入前までの活着済み苗は一旦畑や庭の土壌に仮植えし、生育促進)
    (そうでない苗は、栄養分を増やし土壌性能を挙げ、1、2号分鉢上げする)
  • この1年でできる限りシュートを伸ばし、冬に元の挿し木枝は切り落とす

2週間~1月間後に、一旦土壌に植え、できる限りの成長を促します。この時、鉢植えでもよいのですが、その場合十分な体力作りが出来ずシュートが生えないか、生えても育たないことが多いようです。

できれば、初年度は、土に植え、シュートを育て、挿し木苗にした本枝は、切ってもよいぐらいすると、来年以降の育ちや花芽の持ち方がよくなるようです。