'Scented rose' Aizu Hanabatake Distiller 'Scented rose' Aizu Hanabatake Distiller

会津のダマスクローズ香

会津花畑蒸溜所で栽培・加工しているダマスクローズ(カザンリク)について、素材から丁寧に性能が追えるようになってきました。そこで改めて、主要原産国品との性能差を紹介いたします。

【花について】

中東産と弊所カザンリクでは環境・育て方が異なるものの大きな違いは見分けられません。国内で流通している中東系のダマスクローズといえば、イスパハンやイスパルタがありますが、現地の写真を見てみますと、しなやかに伸びる枝姿、棘も多く、原種よりのカザンリクに近しい系統のようです。

(上写真:弊所のカザンリク種、右写真:中東栽培品種)

【官能差】

弊所のローズウォーターと輸入品との嗅ぎ分けの違いで、~甘い香り~という一言を多く耳にします。

【主成分について】

今回は、GC/MS分析機器を使い花びら、会津産のバラ水、中東産のバラ水についてそれぞれを比べてみました。まずは、薔薇の3大香気成分、フェネチルアルコール、シトロネロール、ゲラニオールについて、それぞれの特徴を相対的に見ていきます。

弊所のローズウォーターには、蒸溜中に精油として抽出されやすいシトロネロールとゲラニオールがしっかり含まれていることが分かります。また乾燥花びらの成分比からみてみますと、弊所のバラはゲラニオール>シトロネロールの含有比というのも特徴的です。

バラ花の蒸溜目的は大きく2つで、精油と芳香蒸留水の取得です。弊所のバラ水は失いやすい主要成分もしっかり含んだ~甘いバラの香り~が特徴となります。

【副成分について】

主成分比からすると、ごく微量の成分でもバラ様を始め、フローラル様の香りを作る重要な成分があります。

このような成分は抽出法により違いはあるものの、精油には含まれ、芳香蒸留水では失われやすいものもあります。

副成分では、双方ともバラに含まれるスパイシーな香り(メチルオイゲノール)とライラック様の香り(α-テルピネロール)が共通して現れ、香気に広がりをつけています。

【赤ラベルと白ラベル】

弊所では、とても手間のかかる花びらだけの蒸溜~赤ラベル~も生産しています。

なんと、赤ラベルには精油でようやく抽出されるネラールが一定割合検出されました。逆に蕊やガクも含めた白ラベルでは、メチルオイゲノールの割合が相対的に増しました。

【分析について】

島津製作所GC:Nexis GC-2030、MS:TQ8050NX、オートサンプラー:AOC-6000

DVB/Car/PDMSファイバーを使用したSPME法による成分分析。

監修・指導:福島大学・農学群・食農学類 食品科学コース 吉永和明研究室 *ご支援・ご指導ありがとうございました。

【参考】

フレグランスジャーナル社:香り創りをデザインする-調香の基礎からフレグランスの応用まで- 、サイエンスの目で見るハーブウォーターの世界


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