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超花畑【14】薔薇の写るドラクマ硬貨

‹ 2022/10/07 ›

こんにちは。雨の日、急激に寒いですねぇ。暖房入りまくり、コタツにミカンを並べたい。><

さてさて、遂に欲しかったものを手にしてしまいました。汗

お金的にはやっちゃった感がありますが、いずれ、ひとつは買うだろうという事で、思い切って入手。^^;

表面のお顔を拝借したら、すぐ気づきます。

ロードス島のドラクマ銀貨(AR Drachm)、3/4射角向きのヘリオス神さんです。^^;

古代ギリシア時代の神々ってのは、その時々や勢力争いの関係性によって、守護担当地域が割り当てされます。アテナ神など、御贔屓地域がはっきりしてますね。

で、ロードス島の守護は、太陽神ヘリオスになります。

古代ギリシア時代、数ある中の彫刻のうち、最大インパクトがあったロードス島の巨像は、この方です。

プリニウス著『博物誌 第34巻彫刻』の18節には次のような記述があります。

「最も賞賛に値するのは、かつてロードスにあった太陽の巨像・・・、建立から56年後に地震で倒れたが、横たわったままでも我々の驚きと感嘆を誘う・・・」

建立から崩壊までが早ッ!

そんなことで、問題の裏面です。^^

そう薔薇ですね。これが欲しかったんです。^^;

NGC鑑評では、ステムより薔薇、蕾も添えてとあります。右側のクネクネっと伸びたのが蕾でしょうかね。この揺らぎ感はダマスクでしょうね。

薔薇の画を跨いで~P、O~の刻印がありますね。ギリシア文字なので、英語にするとRO。ロードス島の略記号となります。

上部にはAINHTΩP~の刻印、アイネトール執務官の元で打たれたということ。

鑑評年代は、205-190BC、他のドラクマ硬貨でもアイネトールさん執務は、この年代になるようです。

さて、数あるドラクマ硬貨(古代ギリシア時代の通貨)で、バラの紋様があるのは、ロードス島くらいのものですよね。

どうしてなんでしょう?

プリニウス著『博物誌 第13巻植物編樹木II』の1-5節~香油の流行と製法~に、手がかりが記述されています。

「バラ油も、ファセリス(現トルコ、テキロバ)のものがもっと良いとされていたが・・・、・・・奪われた

サフラン油は、キリキアのソレ(現トルコのメゼティ)のものが長い間・・・、やがてロードス島のものが取って代わった」

この時代も今と変わらず、時代とともに生産流行地が移り変わるようです。

プリニウスさんの生きた年代はAC早々、その250年ほど前にはロードス島でバラ油の生産が盛んだったんでしょうね。

実際、古代の香油工場はギリシアを取り巻く島々に多かったようですね。

古古代文明の遺跡も、この辺りの島々に多いですし、情勢的に都市壊滅頻度が低かったのかもしれませんね。

今回はロマンのためにお財布消費!!しばらく質素に暮らします。><

参考:

タフツ大学:Perseus Digital Libraryより

Pliny the Elder, The Natural History

John Bostock, M.D., F.R.S., H.T. Riley, Esq., B.A., Ed.